兵児帯について
兵児帯とは、元来は普段着に使用される男性用の帯のことです。男性用の帯にはこの兵児帯と角帯とがあります。
角帯は礼装用にも使用されるため、その仕立て上がりはしっかりとしていますが、兵児帯は普段着用として考えだされた帯ですから、その生地には縮緬、羽二重、木綿、メリンスなどが使用されており、帯芯も入れません。
そのため、軽くて柔らかく締め心地が良いので、着物だけではなく浴衣にも使用されています。
兵児帯は、そもそもは薩摩地方でのみ使用されていたで帯でした。兵児帯の「兵児」という言葉は、薩摩地方で若者のことを指す方言なのです。この兵児帯が、薩摩地方から日本全国へと広がったのは、幕末から明治時代の頃のようです。この頃は、西郷隆盛らを中心としたいわゆる薩摩藩士が、関東地方において非常に活躍していた時代でもあります。
その当時の薩摩藩士の多くは洋装だったようですが、その腰に日本刀を差すために、服の上から兵児帯を腰に巻いていたようです。現在では、兵児帯は男性だけではなく、女性にも使用されるようになっています。特に女性が浴衣などを着る時などには、この兵児帯を使用するケースが増えてきているようです。
以前は、兵児帯といえば疋田絞りによる絞り模様がほとんどでしたが、現在の兵児帯は、柄がまったくない無地のものから可愛い柄をプリントしたもの、先がレースになっているものなど、様々な種類のものがあります。